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今日は高橋一生くんの舞台、PPPPプロデュース「窓」観てきました。

一言で凝縮して言うとこの舞台


Nice boat!


ネタバレですので、これからご覧になる方は、ご注意の上お読みください。

拍手[2回]


まずは、簡単なあらすじから。
尚、ラストの衝撃で色々と忘れてるor認識違いandあえて説明を省いているなどがありますので、ご了承ください。


ある夏、医者の道よりも脚本家の道を歩きたいと悩む青年・清輝(高橋一生)は、叔父の別荘を借りて、その叔父の娘でありいとこの貴枝(ぼくもとさきこ)と避暑地に来る。
ひょんなことから、池向こうの別荘地で、スキャンダルから身を隠して暮らす女優・香澄(野波麻帆)と出会い、彼女の家に強引に招かれる。
そこに集まっていたのは、

決して悪人ではないが、体育会系な50~60才くらいのヤクザっぽいおっさん・金久
金久の舎弟の元ヤン・順二
香澄の付き人であり売れない俳優・生山
過去も性格もつかめない謎の男・森定

の4人の男たち。
清輝は一晩彼らと飲みあかし、一時うちとけたかのように見えたが、翌朝になると彼らとの温度差を感じて帰ろうとする。
しかしその時、子供の療養に来た是松が突然香澄の家にやってくる。
香澄はどうから是松を嫌っているようだった。
是松の勢いに押されて、帰るに帰れなくなった清輝。
そうこうしているうちに、「林で死体がみつかった」という噂話を聞きつけ、彼らは宝物でも探すかのように、死体探しをしはじめた。

やがて露呈する愛憎劇。
香澄に恋焦がれては、思うように愛情表現できない順二。
そして心に秘めながらも情熱的な愛情を香澄に寄せる森定。
香澄に下僕か奴隷かのように扱われても、不満一つ持たない生山。
順二を息子のように思っている金久。
罵倒し香澄の心の傷に塩を塗りこむ是松。
香澄を中心に男たちは振り回されていた。
そして、清輝もいつしか彼らの感情の渦に巻き込まれていく。



・・・と。こんな感じなんですが。
ラストのほうはレビューしながらで。
てか、やっと本題に入れるよ;;


さて。まず最初の印象は、「どのキャラもウゼぇ」でした;
一生くんの役が、一番まともな神経してて正常なんですが、それすらもイラっとするくらいどいつもこいつもウザいキャラ。
(パンフを読むと、そういうキャラ設定なんだそうです)
まあ、それぞれがそれぞれの理論をもっている、といえば聞こえはいいけど、要するに話が通じない。人の話ききゃあしねぇ。論理的に清輝が詰め寄ると、逆ギレしたり、話を明後日に持って行って違う論理に持っていったり、全く違う話題で話を強制終了させたりと。
で、大変暴力的で攻撃的なのね。
特に金久と順二。まあ、そういう世界の人間だからそうなんだけど。
怒鳴る・煽るは上等。立場も性格も弱い生山は、可愛がられてるように見せて実はたんなるいじめの標的。しかし、いじめてる自覚は誰もない、みたいな。
唯一、そこに大して加わってなかった森定は、我慢も高じて香澄と二人きりになった時に押し倒してレイプ未遂だし。
是松なんか、何が楽しいのか香澄を罵倒しまくる。

正直、気分悪くなるほど、そしてなぜ人間関係が保たれてるのかが不思議なほど、痛い空気。

劇中に笑いの部分は入る。シーンによってはコントかっつーくらい。にもかかわらず、なぜか素直に笑えない。
間合いが悪いわけでも、観客の呼吸をとらえられてないわけでもない。むしろ絶妙。
笑いのシーンなのに、何かわからない緊張感がピーンと張り詰めてる。もはや愛想笑いみたいな笑いしか出てこないのはなぜなんだ。

・・・と疑問に思っていたんだが、起承転結の結の部分で謎が解けた。
数々の笑いのシーンの緊張感はあって然るべきものだった。
彼らがギリギリのところで保っていた精神性、それを蓄積するためのシーンだった。

ラストがどうなるかっつーと。

死体の噂をききつけた是松が、死体の描写をする。「どんな死体だったらいいか」という話題になる。香澄は「どれもいや。…ああ、白骨ならいいわ」と軽く言う。
これが伏線となって、みんながまだ「みつからない」と探してる最中、順二が香澄に白骨化した頭がい骨をプレゼント★
「だって、コレが欲しかったんだろ?なあ、だから俺…」
欲しいとは言ってないよ、順二!!
明確に描写はされてないが、もしかすると、多分、見つけた死体からわざわざ肉を削いで綺麗にしてきたのかな?って言う…。
もちろん香澄は拒否。{あんたから欲しいものなんてひとつもないわ!!」
絶望する順二。そして、森定と出来てんだろ!?と勘繰り、死体探しから帰ってきた森定フルボッコ。そして姿を消す。
さらに、実は順二を煽っていたのは是松。
「アハハーぁ!!俺が順二に言ってやったんだよ!香澄!ちゃんと礼言ったか!?言ってないのかよ!?じゃあ言いに行くぞ!」
香澄「冗談じゃないわ!!ふざけないでよ!」マジギレ。
ってゆーか、是松怖い…。是松は順二の香澄への想いも知ってて、自分の享楽のために利用してる。多分「香澄を追いつめて俺のものに」的なド鬼畜S性で。

そこから、なんだかんだで1週間が経つ。なぜそこで何もなかったかのように1週間経つんだと突っ込みたくなる狂気性。

で、ここで時間が前後してしまいますが。
森定が香澄をレイプ未遂した時、香澄を抱きしめた時に、彼女の腰の一部の骨がつきだしてることに気づいたのね。で、抱きしめた時になんか「持ちやすい」と。
香澄は「昔付き合ってた男に暴力を受けて腰の骨を折って、変な風にくっついてこうなった」と森定だけに言った。
他の人から指摘された時は「生まれつき」とフェイクしてたんだが。そもそも、どっちがフェイクだかもわからんけど;
で、これ伏線ね。

フルボッコされた森定は起き上がれるようになっていたが、立ち上がる時に脇の胸が痛む様子。
清輝がろっ骨骨折を疑うが、森定は「大丈夫」と言って病院に行こうとしない。
そして清輝に「このまま治療しないでいたら、変な風に骨がくっついて飛び出る可能性あるのかな?」と訊く。清輝は「可能性はありますね」と答え、病院を薦める。しかし、それもまた拒否して呟いた森定の一言。
「いや、いいんだ。そしたら(香澄と)同じになれる…」

……怖ぇぇぇぇぇ。この一言がなんかすげー怖い。

そしてその日の夜。
金久が順二を抱えて飛び込んでくる。
順二の顔は血で真っ赤。銃で自殺したらしい。
「先生よぉぉぉ!!こいつを助けてやってくれよぉぉぉ!!!」
と、医学生の清輝に詰め寄るが、それ以前に順二はすでに死亡。どうしようもない。
役立たずといわんばかりに、清輝にキックくらわして、もう助けられないことを悟った金久は、一瞬にして自我崩壊。悲しみにくれて、とかじゃない。目がイッちゃった;:

もはや、この狂気の沙汰に圧倒されて、恐怖におののいていた私はこの後の展開の記憶がすっぽり抜けていますorz

清輝はその翌日、逃げるように来た別荘から、逃げるように帰ります。
それから3年後。再び訪れる別荘。…彼女(いとこじゃないよ)と一緒に。
香澄の別荘はすでに無人で空き家。
しかし、その別荘の窓が空いてカーテンが揺れてる。
単なる、管理人による風通しだと思っていたのだが、カーテンの向こうでちらちらと見える人影。
しかし、彼女には見えない。
次第にはっきりしてきたその人影は、赤いドレスを着た香澄と、香澄の首を絞めている是松であることがわかる。
崩れ落ちる香澄。死んだか?と思いきや、起き上がって是松に縋るように抱きつく。
そしてカーテンが風で開いた時、抱きついてた香澄の、誘うようなニヤリとした頬笑み。
羨望・嫉妬・恐怖が入り混じった顔で、発狂したように突然ボートに乗ってものすごい勢いで漕いでいく清輝。
はたして、清輝は恐怖で逃げ出したのか、あるいは狂気に魅せられ、狂った世界へと向かって行ってしまったのか…それは観客の解釈次第。
といったラストでした。

いやー…。この時の一生くんの表情はすごかった。
「思わず羨望・嫉妬を抱いた自分恐怖して」とか、それぞれの感情がつながってるわけじゃないの。
羨望・嫉妬・恐怖はそれぞれ独立した感情で、どこに重きをおいていいかわからなくなって、やがてそれらが入り混じってわけわからなくなってしまったという感じ。
一瞬で狂気にひっぱられた彼は、3年前、すでに狂気に魅入られていた…と結論付けてもいいくらいのすごい演技でした。(解釈はそれぞれあるだろうから、断言はあえてしませんが)

そして、パンフに載ってるインタビューをした時点では脚本ができあがっていなかった、という短期間で仕上げた舞台にもかかわらず、何一つ無駄なところもなく、不足もなく、完成されていました。
役者、すげぇぇぇぇぇ!!!全員すげぇぇぇぇ!!!
一見「平穏」に見えるところですら、理屈にならない不安と恐怖感を与える演技。
そして「皆、狂っていた」というオチで、数々のイミフな言動に説得力を持たせた脚本と演出。

あっぱれ、としかいいようがありません。
私が清輝なら、誘われてもついてかないよ。何が何でも逃げるよ。本能に従って逃げるよ;
つーか、観客の逃走本能を刺激する舞台ってどんだけ;;;

そして、転から結の部分に入ってきたところからすでに思っていましたが、精神性は男女逆版スクールデイズ;;;
最後にほんとに Nice boat! で、笑いを禁じえませんでしたww



マジで半端なくこの舞台


怖 か っ た …
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